クヒオ大佐
純粋な日本人でありながら米軍パイロットの身分を語り、女性をだます結婚詐欺師・クヒオ。詐欺師でありながら計画性が無く間抜けな手口。本人が必死になればなるほど滑稽で笑える。どんな人物なのかもっと掘り下げてみたくなる。 劇中に登場する女性はいとも簡単にだまされてしまうが、そんな彼の詐欺行為は日本の先進国アメリカに対する憧れや負い目とクヒオが抱える個人的なコンプレックスが絶妙にバランスすることで成り立っていたように思う。この頃はそういう時代だったのだろう。 映画全体を通してもそうだけど特にクヒオが自らの過去を語るシーンやラストシーンはシュールでありながらシニカル、かつコミカルな要素もあり製作者の意図に気持ちよく絡め取られる感覚を味わえる。 主演の堺さんは寂しさや切なさを孕んだ笑顔を湛え、つかみ所が無く得体の知れないクヒオにはまさに適役でした。
『クヒオ大佐』